良いオフィスとは何か – 継続改善の文化基盤

//良いオフィスとは何か – 継続改善の文化基盤

「社員食堂」は誰のためのものか?

どんな仕事も奥は深いものですが、オフィス設計の奥深さは予想以上だと思っています。例えば、数年前に流行した「無料の社員食堂」は社員から見ると嬉しい福利厚生ですが、会社から見ると、なるべく社員を外のランチに行かせず、集中して業務に取り組んでもらうための仕組みでもあります。

業務時間を短く、フレキシブルにしていこうという流れの中で、いかに社員にポジティブに仕事に向き合ってもらうか。その1つのソリューションが「無料の社員食堂」であるという側面もあります。

 

しかし、食堂を用意し、食事をすべて無料にするのはコストの面からインパクトが大きい。そこで「無料の自動販売機」を設置して、社員が頻繁にコンビニなどに外出しないで済むようにしているケースもあります。特に高層ビルにオフィスを構えている企業などでは有効です。

環境は人間の思考や行動に大きな影響を与えます。オフィス設計はまさにそれを担っていますが、一方で業績に直接影響を与えるとは言えないため、なかなかコストをかけづらいという面もあります。

 

オフィス設計の難しさは、施策が容易に悪い文化を助長してしまう点にもあります。「無料の自動販売機」は、それ単体ではコスト意識の低い行動を助長しやすいため、すべての業務とインフラに「生産性を最大化するため設計されている」という一貫性がなくては機能しません。

また、すべての社員が恩恵を享受しうるからこそ、公平・不公平の観点からの反対意見も受けやすく、その意味でも意志を持ったデザインが重要になります。オフィス環境は複数の文脈にさらされるため、多視点的に物事を見て、長期的な影響を十分に考慮する必要があるテーマです。

 

UCD:小さな変化を起こし続ける改善プロセス

ビービットの場合、方法論の核となる行動観察ルームは柔軟性や拡張性を含めてかなり入念に検討します。一方、ミーティングスペースや会議室は「基本的な使いやすさ」を満たすことに主眼を置き、(良く言えば)シンプルに設計される傾向があります。

オフィスはひとたびデザインされると、コストや影響度の問題から手を入れることはつい躊躇されがちです。しかし、それでは社員の増加や業務の変化などに十分に対応していけなかったり、今後のより良いオフィスの在り方についての検討が十分に行えません。

 

そこでビービットの総務チームでは通常のオフィス整備活動に加えて、「とにかくやってみよう」をモットーとする「オフィステキ活動」を展開しています。一定期間での見直しと廃棄を前提とすることで、ある程度の思い切った施策も実行可能です。

トライアルをしてみると意外な発見があり、それらの知見は現在のオフィス改善に活用されると同時に、オフィス移転時の参考情報として蓄積されます。今回は、オフィステキ活動を展開するメンバーに聞いた活動のポイントをいくつかご共有できればと思います。

 

意見やデータを参考にとりあえずやってみる

オフィス改善のトライアルのインプットはユーザ(社員)の声と実際の行動です。アンケートや座談会をしたり、何気ない雑談の中で出てきた意見をベースに施策を検討します。MESHというデバイスを使って、会議室やテーブルなどの使用率を調べてみたこともあるそうです。

「椅子を移動して利用しているケースが多い」というデータからトライアルした施策の1つがキューブ椅子の導入です。

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想定以上に評判が良く、「ミーティングスペースについては下手に高価な椅子は買わずに、これで十分かも…」とのこと。

 

また、窓が無い会議室について「暗い…」という声を受けて、床や壁をハンドメイドで張り替えた部屋もあります。床は木目調で、なぜか壁にはふくろう柄の壁紙が貼られています笑。

こちらも好評で、会議室の予約率が高まっているそう。

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気付きがあれば柔軟に変更する

実際に施策をリリースしてみると、当初の想定とは異なる効果が発見されることがあります。例えば、ホワイトボードペイントを使ってミーティングスペースの壁をホワイトボードに変更してみたことがあります。

もっとホワイトボードが欲しいというコンサルタントの声から生まれたものですが、ペイントに際して壁の前のスペースを大きく広げたことで、そのエリアが空間の区切りの役割を果たすことがわかりました。

 

そこで、その他の机なども移動して、より広いエリアがミーティングスペースの中央に生じるようにレイアウトを調整しました。その結果、人の流れがスムーズになったり、その空間を境にしてエリアの意味合いの違いを強調しやすくなりました。

社内で歓迎会などを開催する際には、食べ物や飲み物を置いておくスペースとしても活躍しています。パッとは気付きませんが、レイアウトの妙だなと感じます。

 

失敗したら、気にせず廃棄する

トライアルすると、やっぱりうまくいかないということも当然あります。そういった場合は、学びを得た上で気にせずに廃棄をします

例えば、好評だった「タタミ会議室」から発展した「芝生エリア」。一部の社員に人気だったものの、そのまま寝てしまう人が多かったり、そのために清潔さを保ちづらかったりしたため…、廃棄することになりました。

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実際に設置してみると、実感を持ってメリット・デメリットがわかります。学びがあったことに感謝して、こだわりなく廃棄することも大切だと思っています。

 

「廃棄を前提にトライアルしてみる」という思想は、オフィス設計に限らず、人事施策のリリースにも適用されることがあります。もちろん、マイナスの側面もあり、

  • 1つの施策が長続きしない傾向がある
  • 抜本的な見直しが動きづらい/検討に時間をかけてしまう

といった点は直していかないといけないと感じています。継続すべきものや変化させるべきものは、信念を持ってしっかりと推進しなくてはいけません。

しかし、「とりあえず試してみて、学んで改善を繰り返す」という考え方はビービットの方法論であるUser Centered Design(UCD、行動観察×プロトタイピングを核とする体験設計)に通じるものであり、姿勢としては大切にできると良いなと思っています。

By |2017-05-18T20:37:26+09:003月 22nd, 2017|最近のビービット|